創業者 山本ブログ 2016年11月11日

アメリカ大統領選とこれから教育関係者がすべきこと

今回のアメリカ大統領選は、アメリカのインテリ層にとっては「大卒の世界を高卒の世界が乗っ取った(大卒の世界が高卒の世界に乗っ取られた)」という出来事だと思います。

不思議なのは、トランプさんはペンシルベニア大学ウォートン・スクール出身。言わずと知れた世界最高峰のMBAです。そういう人が、高卒の世界の人(アメリカ社会が分断されていることを前提に敢えてこういう書き方をしています)から熱烈に「俺たちの味方」と思われたのはなぜなのか?ということです。

かつて日本には田中角栄という非大卒の首相がいました。「庶民派宰相」として大変な人気を博し、抜群の行動力で難しい政策を次々と実現しました。彼の場合、評判(庶民派)と経歴(非大卒)が一致していたので、これは分かります。

トランプさんの場合は、既に言われているように、たぐいまれなブランディング能力があったということなのでしょうか。それとも彼が掲げた政策が功を奏したのでしょうか。この辺りのリアリティは、日本にいては分からないことでした。(きっとアメリカにいても、「大卒の世界」にいては分からないことなのでしょうが。)


それから、グローバル化とテクノロジー化に取り残された人たちが、トランプさんの主な支持者だったという分析があるようです。一方で、アメリカはこの30-40年教育改革を推進してきました。その結果、大学の学費は年間300-400万円。寮費が必要であればさらに年間100-200万円必要です。アメリカの寮は、生活の場ではなく、リベラルアーツ教育の一環です。

なぜそんなに大学に費用がかかるようになったのでしょうか?そんなにハイスペックな教育が必要になったのでしょうか?おそらくは、学生をグローバル化とテクノロジー化に適応させるためです。その恩恵を受けられるようにするためには、それだけ高度な教育が必要だったということです。

そして、一部の豊かな人や、先天的な頭脳の明晰さ故に奨学金の給付が受けられる人だけが、教育改革の恩恵を受けられる。そうではない人は、取り残される。その現実が、高額なローンを組んででも大学に進学する今のアメリカの現状を生じさせているのではないかと思います。

ところで今ふと思ったのですが、トランプさんは実業界の大成功者です。彼なら稼ぎ方を知っている、というイメージがひょっとしたらあったのかもしれません。取り残された自分たちをトランプなら稼げるようにしてくれるのではないか、と。

そんなわけはありません。グローバル化した市場において保護政策は機能しません。稼ぐのはあくまで一人ひとりです。

話は戻って、日本も同様です。一部の高校・大学では、グローバル化とテクノロジー化の恩恵を将来受けられる教育が既に行われています。しかし、ごく一部の人しかその教育を現状では享受できていません。

大学の学費も年々高騰し、これから子どもの貧困が若者の貧困にスライドする中(これから就職氷河期世代が18歳-22歳の子どもの親になります)、大学進学率が減少トレンドに入る恐れがあります。

豊かな家庭で生まれ育って、産業の変化に適応できる教育を十分に受けられる人たちと、そうではない人たちとの間に分断が生じ、社会に亀裂が入る、そういう時代が日本にも訪れるかもしれません。

既に訪れているとも言えます。就職氷河期に社会に出ることになった高卒や大学中退の人たちは、既にグローバル化とテクノロジー化から取り残され、非正規雇用のまま低いスキルで働いています。

誰もが産業の変化に適応できるように、新しい教育を十分に受けられる社会を作っていく、それが今この時代に子ども・若者・教育に関わる仕事をしている私たちの使命ではないでしょうか。

立場やセクターを越えて、ともに協力し合い、取り組んで行ければと思います。皆様力を貸して下さい。引き続きよろしくお願い致します。